博士論文提出完了まで

本日博士論文(D論)を研究科事務に無事提出できたので,着想から完成までの記録を時系列で残しておこうと思います.

~博士論文を書き始めるまで~


    • 2019 3/10
      • 9月末までに最後の実験が終われば今年中に学位が取得できると指導教員に言われ,今年一年は死ぬ程実験することを覚悟.
    • 2019 3/29
      • 周りが就活をしていたので,企業の研究職を受けたところ,ありがたいことに数社からオファーを頂いたが,”海外へ挑戦したい”ということと,”志望している配属先になる保証はされない”こと,そして,”論文も学会発表もしなくてもやってけるよ”と社員さん(研究職)に言われたことで,研究に対する温度差を感じて全て辞退.
    • 2019 4/14
      • 悲劇の始まり. 真空を触ったことがある人間なら分かると思うが,超高真空で命とも言える電流導入端子を後輩がモノを落として破壊してしまう. 1年掛けて設計してきた装置が壊れて留年というワードが毎日頭から離れない日々が始まる.
    • 2019 8/7
      • ポスドク先から内定を貰うも,博士の学位を4/1までに取れなかったら内定を取り消す旨を伝えられ,さらに焦る.
    • 2019 8/28
      • 漸く装置が壊れる前の状態を再現するも,欲しかった信号が出ない. 考えられる対策を全て行い,急遽いくつかの設計変更や装置の追加工を行う.
    • 2019 9/2
      • 博士論文とは関係の無い,共同研究のタスクが大量に降ってきて,泣きながら同時並行でこなす日々が始まる.
    • 2019 9/16
      • 半年間追い求めていた信号が微かに見える.
    • 2019 9/30
      • 一通りのPreliminary dataを取り終えて,理論値との整合も取れたことで,なんとか今年度中の学位取得が現実味を帯びてくる.

~博士論文を書き始める段階~

この時点で初めて,11/22がD論の研究科締切だと知りました.
指導教員は,埋めてさえしまえればいいよといったニュアンスで言っていたので,下書きを提出すればいいや程度の感覚でいたところ,事務に問い合わせると,11/22以降は公聴会まで一切修正のできない,最終締切だと聴かされ2ヶ月しかないことに気付く.

ここで,ネット上でも頻繁に議論されているように,

Teχかwordか英語か日本語か

の選択に迫られます.


のように,wordで書いた文章は,100%悪質だそうです(謎).
という内容の質で一切判断しない過激な方もいるのは事実ではありますが,自分は,以下の様に使い分けています.

WORD

    • 一枚物の書類 (数式を使わない場合)
    • 学会のabstract (学会で指定されることも多々ある)
    • 選考書類等 (これも応募先で用意されることが多い)
    • 数式を多様しない論文を書くとき

まず,事務的な書類はwordのテンプレートで提供されて,そこに書き込む形が多いので,普通に従うようにしています. 中には事務書類等も全てLateχで再現している方もネット上で一定数いらっしゃいますが,そこに時間をかけるのも勿体ないので,あるものはwordで使います.  (Microsoftが嫌いだとか,MS Officeを一切インストールしたことがないといった宗教上の理由で使えない方にも会ったことがあるのでそういった方で無い場合)

他にも,自分の場合は,化学系の共同研究をしてきたこともあって,Journal論文のテンプレートがwordでのみ提供されていることが多かったです. また,自分の業界では,数式を論文中で多様しないケースも多々あるので,数式を余り使わないJournal論文では,wordで書いています.

Lateχ

    • 長い論文(文章)を書くとき
    • 数式を多様する文章を書くとき
    • EPS形式の画像を埋め込みたいとき
    • 画像の劣化を防ぎたいとき

数式を使うケースだとWordの数式エディタが重すぎる上に使い辛い(最近はLateχ形式での”入力”は可能)ので,Lateχを利用しています. その他にも,式番や画像・論文のLabel機能や,目次を出力する際に,レイアウト崩れや番号間違いといった細かい点を気にする必要が全く無いので,学位論文は(数式の有無にかかわらず)Lateχが良いのかなと思っています.

学振の書類もそうですが,wordだと(特にmac),無意識のうちに画像が圧縮されてしまったり,macのwordでは,非圧縮にしたはずなのに圧縮されてしまうケースが多々あります.また,論文では,EPS形式で出力したベクタを含む画像を載せたいといったケースが多くあるので,画像を劣化させたくないときはLateχを利用するようにしています.

wordでは校閲機能で,誰がいつどういったコメントをしたかが分かる機能があったり,Lateχではコメントアウトしておけば,たくさんメモを残しておけるなど,一長一短なので,場合に応じてどちらも使い分ければ良いのではというのが私の結論です.

次に,D論の言語が,英語か日本語かという選択ですが,私は英語一択だと思います. そもそも研究は日本だけで完結するものでは無いので,一般的に3年ないし5年かけてきた研究を日本語で書いて日本人にだけ読める形にしておくのは勿体ないというのが私の意見です.実際に自分が研究を進めていくなかで,外国人の方の書いたD論を参考にしたこともあったので,英語で書いて広く読んで貰えるように公開するのが大事だと思っています.また,日本での研究者に対する待遇であったり,金銭的な援助は良いとは言えず,今後国の方針が変わって,生活が苦しくなる/ポストが無くなることも考慮すると,世界中の何処へでも行けるように,学位論文は英語で書くべきだと考えています.(もちろん分野によっては日本語で書いた方が良いのかもしれないので,自分の分野での話に留めておきます.) 実際に自分の所属していた研究室の先輩も,英語でD論を書いている方が多くおられたので,英語で書くべきという認識は修士の頃からありました.

前置きが長くなってしまいましたが,私はD論をLateχを使って英語で書くのが良いと思います.

 


~D論完成までの時系列~

  • 2019 10/04
    • これまでの業績を全てまとめて,博士論文の目次案とタイトルを大雑把に書き始める.
    • これまでに出版した査読論文1報あたり1章の目安で,目次を組み立てた.
  • 2019 10/12
    • ついにD論を書き始める. 既にpublishした論文を埋める形で,新たに分かった内容を追加し,間違いを修正しつつ書き進める.
  • 2019 11/10
    • 「Abstract, Introduction, Conclusions」は全体が纏まってから書くべき内容なので,最後に残しておき,本編の初稿が完成. 指導教員に投げる.
  • 2019 11/21
    • 指導教員に指摘された点を修正したり,追実験をしてデータを修正しながら,留学生に英文校正をしてもらい,ギリギリ完成
  • 2019 11/22
    • 提出

本文だけで144枚なので,一般的な博士論文としては少し短めかもしれませんが,時間がかかった部分は,先行研究を纏める部分やグラフを同じスタイルで統一して描いたり,十分高い解像度で装置図や回路図を書く部分です.書き終わってから言っても仕方がありませんが,普段から高い解像度で同じスタイルでグラフ等を残しておけば良かったなとは思います.D論はJournal論文とは異なり,幅広く一般向けに書くべきなので,少なからず原理や先行研究についてもJournal論文と比較して詳しく書かないといけないため,文献を読み漁る段階で非常に時間を使ってしまいました.

最後になりますが,自分はあまり集中力が持続しないタイプなので,寝起きのスッキリした時間を利用(?)して,D論を執筆する一ヶ月間は,特殊な生活スタイルで乗り切りました.

0:00 ~ 9:00 作業
9:00 ~ 12:00 睡眠
12:00 ~ 21:00 作業
21:00 ~ 0:00 睡眠

と,睡眠時間を一日に二回組み込んで,食事は論文を書きながら,お風呂は集中力が切れたタイミングといった形で一ヶ月間引き籠もっていました.

D論が提出できたからといって,学位は一切保証されていないので,これから公聴会に向けてしっかり準備します.


2019 12/14 (SAT) 14:30~17:00

博士論文の公聴会が無事終了しました.

論文の精読及び審査して頂いた先生方,公聴会で議論をして頂いた先生方にここで感謝の意を表します.

主査: 和田 元 教授, 副査: 粕谷 俊郎 教授, 髙橋 秀典 博士,

東北大学 笹尾 真美子 名誉教授, 核融合科学研究所 西浦 正樹 准教授, 日新イオン機器 宮本 直樹 博士, 関西光科学研究所 森林 健悟 上席研究員, 同志社大学 岩井 誠人 教授, 同志社大学 馬場 𠮷弘 教授

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です